- 社員から副業の申し出があったけど、認めたほうがいいのか分からない
- どのような場合に副業を却下できるか知りたい
- どのような対応が会社にとってメリットがあるか知りたい
- 副業の申し出に、事前に備えておきたい
国が副業・兼業を推進する中、世の中でも副業が珍しくない時代が到来しつつあります。
そんな中、社員から突然「副業をしたいのですが…」と相談される経営者・上司・人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
今回は、社員から副業の申し出があった場合の対応方法について、解説していこうと思います。
副業の申出には真摯に対応したほうが良い
副業を禁止している中、社員から副業の相談があった場合、真摯に話を聞くことをおすすめします。
なぜなら、その社員は、副業が禁止されていることを知りながらも、隠れて副業を始めるでもなく、ちゃんと会社に相談してきてくれた方だからです。そして、相談を受けた方はその社員から信頼されているという証拠でもあります。
また、副業を検討しているということは、少なからず退職の選択肢を検討している可能性があります。そんな中、無下に一蹴されてしまうと、隠れて副業を始めたり、最悪の場合そのまま会社を離れていってしまうかもしれません。
このような理由から、申し出をしてきた従業員と向き合って、真摯に対応することが望ましいです。
社員からヒアリングをしましょう
副業の相談を受けたら、どのようなヒアリングが必要ですか?
ヒアリングの内容と順序は下記のとおりです。
- 副業を考えた理由を聞く
- 副業の職種、仕事内容、副業形態を聞く
- 副業の頻度を聞く
では、ひとつずつ見ていきましょう。
副業を考えた理由を聞く
まず、その社員の方が副業をやりたいと思った理由を聞きましょう。
ここで大事なポイントは、「生活費のため」なのかどうかです。
もしも、生活費を補填するためだとしたら、考えるべき問題は、「副業を認めるべきか」ではなく、「給与水準は適正なのかどうか」です。
もちろん、その社員の生活水準に拠るものも大きいため、できる範囲でヒアリングし、問題点を整理しましょう。
副業の職種、仕事内容、副業形態を聞く
次に、検討している副業の職種、仕事内容、副業形態をヒアリングしましょう。
職種や仕事内容によっては、制限が必要な場合があるからです。
ここで、副業を制限できる要件を整理しておきましょう。
- 労務提供上の支障がある場合
- 業務上の秘密が漏洩する場合
- 競業により自社の利益が害される場合
- 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
上記に該当する場合は会社は副業を制限することが可能です。
詳しくは下記の記事をご参照ください。
また、副業形態についてですが、他社から雇用される形態のかどうかを確認しましょう。
ここでいう雇用とは、雇用契約のことを言います。この場合、副業先との労働時間は合算され、割増賃金や社会保険、36協定などに影響が出てきます。
副業社員の労働時間管理方法は下記をご参照ください。
副業の頻度を聞く
最後に副業の頻度を確認しておきましょう。
企業には安全配慮義務義務があり、健康面で影響がある場合、必要な対処をしなければならないからです。
これらのヒアリングができたら、従業員に一度検討させてほしいと伝えて時間をもらいましょう。
問題がなければ副業を認めてあげましょう
就業規則で副業を禁止している場合でも、上記に該当しない場合、副業を認めてあげるのが望ましいです。
国も、労働時間以外の時間をどう使うかは本人の自由であるとし、制限が必要ない場合は副業を認めるのが望ましいとしているからです。
また、問題がないのに副業を認めなかった場合、その社員に不満が蓄積し、最悪の場合離職してしまうリスクも存在します。
それならば、副業を認め、本業でのパフォーマンスや健康への影響に留意しつつ、のびのびと働いてもらったほうが得策だと思います。
副業のルールを見直すよい機会
従業員から副業の申し出があった場合は、副業のルールを見直す良い機会です。
副業は、会社にもメリットのある制度ですので、前向きに検討されるのはいかがでしょうか。