【社労士が解説】副業の基礎知識

このような方におすすめの記事です
  • 副業について知識がないから、全体像を知りたい
  • 副業にはどんなメリット・留意点があるの?
  • 副業を解禁したいけど、労働時間や社会保険の扱いはどうなるの?
  • 会社とトラブルにならない副業の始め方を教えて!

2018年を機に、国が副業の促進を始め、副業関連のニュースも増えてきました。
そんな中、
「副業と言われても何から考えたらいいのか分からない」
「副業を始めることで会社とトラブルにならないか心配」
と悩んでいませんか?

実は、事前知識なく副業を始めてしまうと、労働時間や社会保険の面で会社とトラブルになってしまう可能性があります。
なぜなら、副業には形態によって労働時間を通算したり、社会保険の取り扱いが変わってくるからです。

私は社会保険と労務の専門家である、社会保険労務士の資格を保有しています。また、本業でも副業解禁に携わった実績があり、この社会保険労務士業も副業として開業しました。

この記事では社会保険労務士が「ここは押さえておくべき」と考える副業に関する基礎知識を学ぶことができます。
この記事を読むと、副業に関する全体像をつかむことができ、会社と友好な関係を保ちながら堂々と副業を始められるようになります。

副業の基礎知識として、下記を理解することが重要です
・副業の種類
・副業のメリットと留意点
・労働時間の通算について
・社会保険の取り扱いについて

この記事で分かること

副業の種類

副業・兼業・複業、それぞれニュアンスが異なる

副業関連のニュースを見ていると、「副業」の他に「兼業」や「複業」といった言葉が出てきます。
これらの言葉は”複数の仕事を持つこと”という点は共通しており、それぞれニュアンスが異なります。

  • 副業:「副」という言葉の通り、本業を”主”とするニュアンス
  • 兼業:同等の仕事を”兼ねている”というニュアンス
  • 複業:”2つ以上の仕事”を持っているニュアンス

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副業は大きく「雇用型」と「非雇用型」に分かれる

副業を考えたときに、「他社で雇用される」「ネット上でライティングなどを業務委託で請け負う」「特技・経験を活かして起業する」など、いろいろな選択肢が出てくると思います。しかし、労働時間管理・社会保険の面から見たとき、副業は大きく「雇用型」と「非雇用型」とに分別できます。
なお、ここでいう「雇用型」とは会社との労働契約により行う副業を指します。
会社から仕事を請け負う場合でも、業務委託は「雇用型」には含まれません。

項目雇用型非雇用型
労働時間本業と副業の通算が必要本業と副業で通算は不要
健康保険本業と副業どちらかの組合を選択
(保険料は本業と副業を合算した水準)
本業でのみ加入
厚生年金保険本業と副業どちらかの年金事務所を選択
(保険料は本業と副業を合算した水準)
本業でのみ加入
雇用保険本業でのみ加入本業でのみ加入
労災保険本業と副業両方で加入本業でのみ加入
※健康保険・厚生年金保険は本業・副業共に加入対象となる場合のみ

この記事では今後、労働時間管理と社会保険適用の観点から、副業を「雇用型」と「非雇用型」として区別して解説していきます。

副業の基礎知識

副業のメリット・留意点

副業には会社・社員ともに様々なメリットがあります。

会社側のメリット・留意点

・社員が会社では得られない知識・スキルを獲得することができる
・優秀な人材の獲得・流出の防止ができ、競争力が向上する
・社員が社外から新たな知識・情報や人脈を入れることで、事業機会の拡大につながる など

・社員の副業先での労働時間を把握する必要がある(雇用型の副業の場合)
・情報漏洩に関する防止策が必要になる など

社員側のメリット・留意点

・離職せずとも別の仕事に就くことができる
・新たなスキル、経験を得ることで、主体的にキャリアを形成することができる
・本業の所得を活かして自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を追求することができる

・労働者自身による就業時間や健康の管理も一定程度必要である
・副業先で本業の機密情報を漏洩させてはならない

詳しくは下記の記事をご覧ください

副業解禁をリスクに感じている人事担当者様はコチラもおすすめ

副業を始めるには、多くの会社で届出が必要

副業を始める場合、多くの会社で届出が必要になっています。
この場合、「雇用型」「雇用型以外」どちらの場合でも届出が必要です。

会社が社員の副業を届出制にする理由としては、
・本業に支障はないか
・情報漏洩のリスクはないか
・本業と競業になる副業でないか
などの確認の目的があります。

自分の会社での副業開始の手続きについては、就業規則を確認しましょう。

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副業の労働時間の取り扱い

雇用型の場合

雇用型の副業を行う場合、本業と副業とで労働時間が通算されます。
本業と副業での労働時間が8時間を超えた場合、本業・副業どちらかで割増賃金が発生します。

通算の方法は原則的な方法と「管理モデル」による簡便な方法の2種類があります。
詳細は下記の記事をご確認ください。

非雇用型の場合

非雇用型の副業(業務委託など)の場合、本業と副業とで労働時間は通算されません。

雇用型でない場合、労働時間の通算は行われませんが、本業に対して労働時間等の報告は必要です。これは、本業側の企業に安全配慮義務という、従業員が健康に働けるように配慮する義務があるからです。

副業の社会保険の取り扱い

雇用型の場合

健康保険・厚生年金保険

雇用型の副業で、副業先で健康保険・厚生年金保険の加入対象となる場合は、本業と副業とで加入する健康保険組合と管轄の年金事務所を選択することになります。
また、それぞれの保険料は本業と副業の賃金を合算して算出されます。

詳しくは、下記の記事をご確認ください

労災保険

労災保険は健康保険・厚生年金の加入に関わらず、本業・副業共に加入します。
保険料は全額会社負担になり、労災事故が起こった場合の給付額も本業と副業の賃金が合算されて算出されるため、副業を始める方にとっては安心な制度になっています。
なお、会社側のお話になりますが、怪我の種類によってどちらの労災保険が適用されるかが決定されます。

詳しくは、下記の記事をご確認ください

雇用保険

最後に雇用保険についてですが、本業で雇用保険に加入している場合は、副業先での加入はできません。
なお、本業・副業共に雇用保険の加入対象となれない場合でも、一定条件を満たすことで雇用保険に加入できる制度があります。

非雇用型の場合

非雇用型の副業の場合、健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険については対象外となり、引き続き本業のみでの適用対象となります。

基礎知識を得たら副業を開始・解禁しよう

副業は基礎知識が重要

今まで述べてきた通り、副業には基礎知識が重要です。
なぜなら、副業は会社と労働者の歩み寄りによって成り立つからです。

基礎知識を身に着けたら、実際に副業を始めるフェーズに移りましょう!

副業を始めたい会社員の方

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副業解禁を検討中の人事担当者様

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